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≪探索8日目 探索10日目≫

探索9日目


Diary

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キャラクター解説

フィア=ウィンド
 この物語の主人公。これがアタシの書く日記である以上、主人公の地位は揺るがないのだ!
 友人から預かった犬が元気を無くしてしまい、この世界に来た。

フィア「ねえ、ゾンビ退治に行こうよ!」

石刀火 凍檻 (いわとび こおり)
 フィアのパーティメンバ。妙に立派な黄色いマユゲが特徴の青年。
 顔立ちは整っているけど、言葉を放つと残念でならない人。

こおり「ん? さっきまで山猫退治に行くと言ってなかったか?」

ひかげ
 フィアのパーティメンバ。小学5年生の女の子。
 何でもいいから世界一になりたいらしい。ひなたちゃんの双子の妹。

ひかげ「今日の晩ごはん、ふんぱつしてくれるなら考えてあげてもいいわ」

ひなた
 フィアのパーティメンバ。小学5年生の男の子。
 絵本作家になるのが夢らしい。ひかげちゃんの双子の兄。

ひなた「ひーちゃんは素直じゃないんだから」

ノライヌ
 友人であるイリスから預かった犬。ダンボールで出来ている。
 言葉を喋る事は出来ないが、実は字が書ける。

ノライヌ「わんわん! わんわん!」

氷希宮 亜流 (ひきみや ある)
 母校である九頭竜学園の先輩。いつも何かと頼りにしている先輩。
 少しお説教くさい。

亜流「ノライヌは元気になったんだろう? だったらとっととコチラの世界に戻ってこい!」

宿屋の主人
 エスタの街で宿屋を経営している、白髪の目立つ壮年の主人。
 息子がゾンビ退治に向かったまま戻ってきておらず、安否を気にしている。

主人「私事で済まんが・・・ゾンビ退治に向かってはくれんだろうか?
   そのついでに・・・息子の安否を確かめて欲しいんじゃ。
   その分、今日の宿代は安くしておくから・・・」


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■探索9日目の日記■

ゾンビが住まうという洋館へ向かう途中。
繋がらないハズの携帯電話に、級友から連絡が入った。

亜流「ノライヌは元気になったんだろう? だったらとっととコチラの世界に戻ってこい!」

久しぶりの級友の声。しかしその会話の内容は、決して喜ばしい類のものでは無かった。

ノライヌ「くうぅん・・・」

ノライヌが心配そうな表情でコチラを見つめている。

フィア「ちょ・・・待ってよ亜流ねぇ、帰るって・・・何で?」

亜流「遊びで行ってるんじゃ無いんだぞ。
   要件が済んだら、帰って来るのが当たり前だろう」


亜流ねえの言う『要件』、すなわち私がこの島に来た目的は・・・『ノライヌを元気にすること』だ。
彼女の言う通り、要件はとっくに解決している。

フィア「確かにノラちゃんは元気になったけど・・・
    コッチの世界には困ってる人が沢山居て・・・」


何しろコチラはゾンビ退治の依頼を受けたばかり。
エスタの街の宿屋の主人の困ったような顔が脳裏に浮かんだ。

                                            セルフォリーフ
亜流「そう言えば確かに・・・そっちの世界 では救援要請が出ていたな・・・」

フィア「でしょ! 困ってる人を放ってはおけないよ!」

亜流「だが、フィアはその要請を受けて其処に行ったワケでは無いだろう?
   救援は正規の派遣救助員に任せておきなさい」


あうあう、確かに亜流ねぇの言う通りかも知れない。

亜流「・・・まぁ私も鬼じゃない。今すぐ帰れとは言わないさ。
   あと2日猶予をあげるから、しっかりと帰る準備をしておくように」


亜流ねぇは一方的にそう言うと、電話を切ってしまった。

フィア「はわわわわ・・・」

私は頭の中がパニックになってしまった。

こおり「ん? どうした、浮かない顔をして?
    九頭竜学園で学級崩壊でも起きたのか?」


フィア「いや、何でもない! 何でもないから!!」

私は咄嗟にそう答えてしまった。
どうしよう・・・「地元に帰ることになりました」って言わなきゃいけないのに・・・
パーティを離れなきゃいけなくなっちゃったのに・・・
言えない・・・言えないよぅ・・・

ひなた「・・・・・・・・・・。」


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ゾンビが住まうという洋館へ向かう途中。
山岳の手前にて。

マンモスA「パオォオォオオォオオオオン!!!」

マンモスB「パオォオォオオォオオオオン!!!」

私達は、全長5メートルはありそうな巨大なマンモス2体に襲われた!
見上げると・・・それはまるでビルの様相だ!

フィア「ちょ・・・ムリだって、こんなの無理だってーっ!!」

ひかげ「こんなの相手にするなんて聞いてないわよ!」

ひなた「逃がしてくれる気は無さそうですね・・・」

流石はセルフォリーフと言うべきか。こんな怪物が跋扈しているんだもの、救援要請を出しているというのも頷ける。

こおり「…神坂一刀流、石刀火凍檻、推して参る!」

フィア「うわーん、やるしかねーのかよー!」

こうして、絶望的としか思えない戦闘が始まった。


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フィア「ひぃ・・・ひぃ・・・みんなー・・・生きてるー・・・?」

ひなた「ええ・・・辛うじて」

こおり「また一歩、頂に近づいた」

何とか、マンモス戦には勝利できた。
本当にギリギリいっぱいいっぱい。文字通り、死線をくぐった感じがした。

ひかげ「あんなの図体がでかいだけじゃない。あたしの敵じゃないっつーの」

ひかげちゃんが息を切らしながらそう言った。強がっているだけだというのがハッキリ判る。意気消沈する皆を鼓舞しようとしているのだろう。
だが・・・これだけは言える。こんなコトを繰り返してたら、命が幾つあっても足りない。

・・・不意に、亜流ねぇの「帰ってこい」という言葉が脳裏を過ぎる。

そう、帰ってしまえば。九頭竜学園に戻れば、退屈とはいえ平和な日常に戻る事が出来る。
こんな風に、死線を彷徨う必要なんてない。

フィア「でも・・・アタシは・・・」

再び、エスタの街で出会った宿屋の主人の、困ったような顔が脳裏に浮かんだ。
気が付けば、ゾンビが住まうという洋館は目の前だった。


# つづく #







亜流「やれやれ・・・あのフィアが“困ってる人を放ってはおけない”とはね。
   言うようになったじゃないか」




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