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≪探索7日目 探索9日目≫

探索8日目


Diary

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キャラクター解説

フィア=ウィンド
 この物語の主人公。これがアタシの書く日記である以上、主人公の地位は揺るがないのだ!
 友人から預かった犬が元気を無くしてしまい、この世界に来た。

フィア「ところで。次の依頼は何にするー?」

石刀火 凍檻 (いわとび こおり)
 フィアのパーティメンバ。妙に立派な黄色いマユゲが特徴の青年。
 顔立ちは整っているけど、言葉を放つと残念でならない人。

こおり「東の方で、食料運搬の依頼があるらしいな」

ひかげ
 フィアのパーティメンバ。小学5年生の女の子。
 何でもいいから世界一になりたいらしい。ひなたちゃんの双子の妹。

ひかげ「食料うんぱん・・・美味しそうじゃないの」

ひなた
 フィアのパーティメンバ。小学5年生の男の子。
 絵本作家になるのが夢らしい。ひかげちゃんの双子の兄。

ひなた「ひーちゃん、ソレは食料を運ぶってだけで、食べれるワケじゃないと思うよ?」

ノライヌ
 友人であるイリスから預かった犬。ダンボールで出来ている。
 言葉を喋る事は出来ないが、実は字が書ける。

ノライヌ「わんわん! わんわん!」

氷希宮 亜流 (ひきみや ある)
 母校である九頭竜学園の先輩。いつも何かと頼りにしている先輩。
 少しお説教くさい。

亜流「エサも聞かずにペットを預かったりして・・・
   まったく、安請け合いするからこんな事になるんだぞ・・・」


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■探索8日目の日記■

深い森を抜けた先には、見渡す限りの草原が広がっていた。

ノライヌ「わんわん♪ わんわん♪」

ノライヌは今日も元気に走り回っている。

ひかげ「ほうらどうどう、おーよしよしそれにしても不細工だなあーおい」

最近はよくPTメンバの ひかげちゃんが一緒に遊んでくれている。
ノライヌの方もすっかり懐いているようで、微笑ましい限りだ。

こおり「寒い時は火の燃料に。寝るときはバラして体に巻いて、おなかが空いたら
    肉まんの具に。ノライヌというのは便利だな」


・・・まぁ、こおりさんは相変わらずだけど。
そんな私達一行の冒険も、本日で7日目となる。
セルフォリーフ
異界の地 で1週間も冒険をしたのかと思うと、ちょっぴり感慨深い。
・・・と、そんな時。

ノライヌ「がるるる・・・わんわん!」

突然、前方の茂みに向かって、ノライヌが吠え始めた。

フィア「ちょ・・・ノラちゃん、どうしちゃったの急に?!」

ひなた「ひょっとして・・・新手のモンスターを察知したのかも知れませんね」

ひなた君の予想通り、茂みの奥からモンスターが飛び出してくる。

キラーオクトパス「うじゅるうじゅる・・・」

大海猫「ギャース! ギャース!」

それは、今まで見てきたモンスター達とは明らかに違っていた。
一回りも二回りも大きく、そして恐ろしい殺気を放っていた。

ひなた「今までと同じ敵とは・・・思わない方が良さそうですね」

フィア「ひえええっ・・・!」

大海猫はばっさばっさと羽を広げ、気が付いたら私達の後ろに回り込む。
前方にタコの化け物、後方に巨鳥。挟まれる形となった私達は、逃げることも出来ず・・・
死に物狂いで戦う他なかった。


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フィア「ひいっ、ひぃっ・・・助かった・・・!」

命からがら。私達はギリギリで新手のモンスターを撃退し、近くにあった街へと逃げ込んだ。
どうやらここは『エスタの街』というらしい。
最初に居た『スティルフ』という街よりは、若干大きい様だ。

フィア「はふー、街に居ればもう安心だよね!」

ひなた「・・・・・・、本当にそうでしょうか?」

ひなた君は、真剣な顔つきで呟く。

フィア「ど・・・どういう意味?」

ひなた「スティルフに比べ、この街の周辺のモンスターはあまりに強力です。
    この街の自衛体制がどこまで機能しているのか・・・」


ひかげ「今さらなに言ってんのよひなた。だから依頼があるんじゃない。
    困ってる人をあたし達が助けて、お金を貰って美味しいごはんを食べるんでしょ!」


ひなた「そうだね。その通りだよひーちゃん。
    街の人達では手の回らない部分は僕達が何とかしないとね」


ひかげ「だからごはんを食べるんでしょ!早く宿さがしなさいよ!」

そうか・・・そういうコトか・・・。
今までこなしてきた依頼が、アップル退治だのハムスター退治だので、イマイチ実感が湧かなかったけど。
セルフォリーフ
この世界 は、私が元居た世界よりずっと危険な所なんだ。
だから街には様々な『依頼』が寄せられる。冒険者は危険を承知でその『依頼』をこなし、お金を受け取る。
ここは・・・そういう世界なんだ。


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主人「あんたら、冒険者かの?」

宿屋に着くなり、宿屋の主人から縋るような目を向けられた。

主人「北西の洋館に住まうゾンビ退治の依頼は知っとるじゃろう?
   ウチの息子がね、冒険者の真似事をしてあの洋館に向かったきり帰って来ないんじゃ」


白髪の目立つ壮年の主人は、唐突にトンでもないことを言う。

主人「私事で済まんが・・・ゾンビ退治に向かってはくれんだろうか?
   そのついでに・・・息子の安否を確かめて欲しいんじゃ。
   その分、今日の宿代は安くしておくから・・・」


主人はそう言って、頭をぺこぺこと下げる。

こおり「・・・そうか。だが息子さんが無事なら間もなく帰ってくるだろうし、
    ゾンビに襲われてゾンビになってもゾンビの帰巣本能で
    結局ここに帰ってくると思われるが・・・」


こおりさんは時々、すまし顔で本当に怖いことを言う。

フィア「ねえ、ゾンビ退治に行こうよ!」

こおり「ん? さっきまで山猫退治に行くと言ってなかったか?」

フィア「ごめんねこおりさん。でも・・・こんな話を聞いたら・・・放っておけないよ!」

ひかげ「今日の晩ごはん、ふんぱつしてくれるなら考えてあげてもいいわ」

主人「ええ勿論、腕によりをかけてご用意させて頂きますよ」

ひなた「ひーちゃんは素直じゃないんだから」

こおり「・・・理解した。ならそうすればいいさ」

かくして。次の行先はゾンビ退治に決まった。

こおり「ふぅん・・・こんな小学校の遠足みたいなPTにゾンビ退治を依頼するなんて
     あの主人、よっぽど追い詰められていたのか・・・それとも・・・



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翌朝。私達は宿屋の主人に見送られて、エスタの街を後にした。
いつまでもいつまでも腕を振る主人を見ていると、頑張ろうって思う。
目指すは北西の山岳に建つという洋館。ゾンビ退治だ!

フィア「気合入れていくぜー!」

私はいつも以上にノリ気だった。
そんな時だ。唐突にポケットにしまっていた携帯電話が鳴る。
あれ? この世界に着いてから、ボクの携帯はずっと「電波が届きません」状態だったハズだけど・・・

亜流「フィアか? やっと繋がったか」

携帯電話の向こうで、元の世界での親友の声がする。

フィア「うわっ! 亜流ねえ! ひっさしぶりーっ! ってか、何で繋がるのこの携帯?!」

亜流「お前、『世界間通信』のスキルを取得しただろう?
   そのお陰で、ようやくこちらからも連絡が取れるようになったんだ」


フィア「うへぇ、世界間通信って、そんな能力もあったんだねぇ・・・」

新たな発見である。

亜流「そんな事はどうでもいい! フィア、いつまで遊んでいるつもりだ?
   ノライヌは元気になったんだろう? だったらとっととコチラの世界に戻ってこい!」


フィア「・・・・・・・・・え?」


# つづく #




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