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≪探索5日目 探索7日目≫

探索6日目


Diary

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キャラクター解説

フィア=ウィンド
 この物語の主人公。これがアタシの書く日記である以上、主人公の地位は揺るがないのだ!
 友人から預かった犬が元気を無くしてしまい、この世界に来た。

フィア「今日もいい天気だねーっ!」

石刀火 凍檻 (いわとび こおり)
 フィアのパーティメンバ。妙に立派な黄色いマユゲが特徴の青年。
 顔立ちは整っているけど、言葉を放つと残念でならない人。

こおり「おいおい、食べるときはハリガネをちゃんと取る。親に習わなかったのか?」

ひかげ
 フィアのパーティメンバ。小学5年生の女の子。
 何でもいいから世界一になりたいらしい。ひなたちゃんの双子の妹。

ひかげ「次の街、本当にこっちの方角で合ってるんでしょうね?」

ひなた
 フィアのパーティメンバ。小学5年生の男の子。
 絵本作家になるのが夢らしい。ひかげちゃんの双子の兄。

ひなた「大丈夫じゃないいかな? 途中でハムスターが出るってウワサだよ」

ノライヌ
 友人であるイリスから預かった犬。ダンボールで出来ている。
 言葉を喋る事は出来ないが、実は字が書ける。

ノライヌ「わんわん!」

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■探索6日目の日記■

フィア「はぁ、はぁ・・・危ないところだったね」

ノライヌ「きゅうぅん・・・」

こおり「・・・また一歩、頂に近づいた」

今日の戦闘も熾烈を極めた。
3人ともギリギリまで体力を削られ、ひなたちゃん、ひかげちゃんに至っては昏倒して倒れてしまったほどだ。
セルフォリーフ
この世界 の生き物は、それ程までに手強いのだ。正直、『油断』していた。
明日はいよいよ『ハムスター退治』の依頼当日だというのに・・・こんな調子で本当に私達のPTは大丈夫なのだろうか?

そんな肌寒い夕刻の、草原でのキャンプにて。
私は・・・今度こそ自分の『油断』に心の底から後悔した。
目の前には、皿に盛り付けられた晩ごはんが並んでいた。
それは・・・焼いてある 珍平 だった。

珍平「は?なに?喧嘩すんの?いいよ」

不意に、先日闘った、珍平との戦闘を思い出す。
確かに私達は彼らと戦い、そして勝った。
所詮この世は弱肉強食。勝った者は敗者の血肉を喰らい、生き延びる。大自然のルールだ。
それは判っている。
だけど!
目の前にあるソレは、しっかり火が通っていて。変わり果てた姿をしていて・・・でも生前の面影を残していて。
お茶の間には決して放映できない、モザイクがかかっちゃうような料理へと変貌していたのだ。
両の瞳から、涙が溢れてきた。
生きるって・・・本当に大変なコトだったんだ。
ぅ・・・ぅうっ・・・
私は震える手を必死に抑えながら、焼かれた珍平に箸を・・・

ひかげ「なに?今日の晩ごはんはパンプキンパイ?」

ひなた「ハロウィンだからね。ひーちゃんのは野苺の入った特製だよ」

こおり「まごうこと無きカボチャだな」

なん・・・だと・・・?!

視界の端に、PTメンバの姿が映る。
彼らは皆、美味しそうにパンプキンパイを食べていた。
普通のパンプキンパイだ。モザイクなんてかからない、美味しそうなヤツだ。

フィア「ちょっとー! どゆことっ?! アタシもソッチのパンプキンパイがいいーっ!!」

私は大いに取り乱した。

こおり「何を言っているんだ? 料理を注文したのはお前だろう?」

―――!!

この時。私の脳内で、何かが繋がった。
そう、私は大きな勘違いをしていたのだ。
現在、私達のPTは積極的に料理枠を交換している。つまりは、食事を外注しているのだ。そして、晩ごはんの料理を発注するのは私の仕事だ。
私はいつからか面倒くさくなって、「そこにあるのを適当に焼いてくれるだけでいいから」と指示していた。
だから・・・目の前には、前日に倒した敵を焼いた料理が並ぶのだ。
昨日の『焼きタワシ』も、一昨日の『焼きりんご』も・・・私のせいでこんな料理になってしまったんだ!
私は・・・馬鹿だ。本当に馬鹿だった・・・
膝が震えて立っていられなかった。私は跪いて・・・泣いた。

ひなた「すいません。僕たち、流石にあーいうのは食べられないんで・・・
    勝手ながら、自分たちの分だけ別の料理に代えさせてもらいました。
    いけなかったですか?」


私以外の料理がマトモなのは、ひなたくんのおかげというコトか。
流石はひなたくん、何て頼りになる男!!

フィア「ひなたくんは しっかり者やなーっ! それに引き替えアタシときたら・・・
    タワシなんて食べさせようとしてゴメン、ほんとごめんよー!」


こおり「“食べさせようと”・・・じゃなくて“食べさせた”の間違いジャマイカ?」

フィア「すんませんしたっ! マジすんませんでしたっ!
    ごおりさん、ひなたくん、ひかげちゃん・・・ほんとごめんなさいっ!」


とにかくひたすらに頭を下げた。

ひかげ「ふんっ・・・もういいわよめんどくさい、ゆるすゆるすあーゆるす」

フィア「ひかげちゃん・・・こんなアタシを許してくれるのん?」

ひかげ「こっちもたわし投げつけたのあやまっとくわ。ごめんフィア」

フィア「うわーん、ひかげちゃんは ええ子やーっ! ほんま ええ子やーっ!」

ひなた「フィアさんはてっきりそういう食文化の人だと思ってたんですが・・・
    勘違いだったみたいですね。
    ・・・宜しければ、明日からの料理名は僕の方で担当しましょうか?」


フィア「ひなたくんもありがとー! うん、お願いするよー!
    明日からのごはんが楽しみだよー!」


こおり「・・・明日から、な」

ふと前を見る。『焼き珍平』は、相変わらず私の前に鎮座している。
そう。今日の料理はあくまでこの 焼き珍平 なんだよね。
希望に満ちた明日のために・・・私はこの目の前の料理を何とかしようと・・・奮い立った!


# つづく #




※私の発注する料理名あんまりだとPTメンバからクレームがついたので、こんな日記になりました。
 こおりくん、ひなたくん、ひかげちゃん、そして料理を作ってくれた皆さん、ほんとごめんね!




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