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≪探索2日目 探索4日目≫

探索3日目


Diary

■探索3日目の日記■

フィア「それーっ! いくぞノライヌー!!」

ノライヌ「わんわん!」

私がボールを投げると、ノライヌが駆け出し華麗にキャッチ。
ボールを口に咥えながら、大喜びで戻ってくる。しっぽを千切れんばかりに振る様が可愛らしい。

ノライヌ「わんわん! わんわん!」

フィア「仕方ねーなー。もう一丁いくぜーっ! とりゃっ!」

再度ボールを投げる私。ボールに向かって駆け出すノライヌ。
秋風の心地よい昼下がり。私はそんなカンジでノライヌと遊んでいた。

??「うわ・・・何このダンボール動いてるわよ気持ちわる!」

??「ちょっと、ひーちゃん。初対面の人に失礼だよ」

見知らぬ二人組の少年少女が駆け寄ってきた。

??「あたしの何処が失礼だって言うのよ? 失礼だと思うなら ひなた が謝んなさいよ!」

??「えっと・・・妹が失礼を働いてすいません」

??「ホントに謝ってんじゃないわよ!」

何だか賑やかな二人組だなぁ。兄妹なのかな?
よく見ると、女の子の方は私の持つボールをガン見している。

フィア「これ・・・キミもやってみる?」

私は、女の子にボールを差し出してそう言った。

??「べ、別にやりたくなんかないわよっ!
   でも・・・あんたがどうしてもって言うなら、やってあげないでもないわよ!」


女の子はそう言うと、私の手から半ば強引にボールを奪い取り、おもむろに遠くに投げる。

ノライヌ「わんわん! わんわん!」

ボールが投げられるや、ノライヌは元気に走り出す。

??「あははっ! ホントに追いかけてやんの! バカみたーいっ!!」

女の子は何やらすごく嬉しそう。
口調はアレだが、実はとても可愛い子かも知れない。

??「でも・・・アッチの方角はちょっとマズいんじゃ・・・(汗」

コントロールを誤ったのか、投げられたボールは緩やかに弧を描くと、やたらと深い草むらの中に落ちていった。
そこにはかなり背の高い雑草が群生しており、ここからでは草むらの中がどうなっているか見ることが出来ない。
ノライヌは、そんな草むらに迷わずダイブしていった。

フィア「あちゃー・・・(汗」

??「わ、わざとじゃないんだからね!」

女の子は言葉とは裏腹に、心配そうに草むらの様子を見つめている。

がさごそ・・・がさごそ・・・

何とも言えない沈黙が続いた後。
獲物を見つけたのか、ノライヌは草むらの中から無事に出て来た。

おや? ボールと言うには随分と大きいような・・・

ノライヌの口からは、白くて太い棒が大小合わせて3本、飛び出していた。
中でも真ん中の棒は丸太の様に太く、その先端からはさらに灰色の細長い棒が2本、くの字に曲がって伸びている。
サイズ的にもかなり大きい。ノライヌの身長の5倍はあるだろうか。

ノライヌ「わふん!」

ノライヌは勝ち誇った顔で、重そうにズルズルと、草むらの中から獲物を引きずり出してきた。
全長は160cmくらいだろうか。大きさとしてはそう、ちょうど人間と同じくらい・・・

――ってか人間だし!!

よく見たら人間だった。ノライヌの口の中に顔面がすっぽりと納まり、首から下がハミ出ている格好だ。

フィア「ちょっとノラちゃんっ?! 何やってるのーっ!!」

私は慌てて駆け寄ると、ノライヌの口に挟まったものをずるずると引きずり出す。

??「あ、あたしのせいじゃないわよねっ?!」

??「そんなコトより・・・この人、大丈夫なのかな?」

引きずり出されたソレは、しばらくの間はぴくぴくと痙攣していたが。
カッと目を見開くと、おもむろに自らの力で立ち上がった。

??「・・・・・・・・・。」

恐らく男性であろうソレは、無言のまま立ち尽くしている。

フィア「すいませんしたっ! うちの飼い犬が大変な粗相を・・・っ!」

私は青い髪の男性の眼前で土下座して謝った。もうそれしかないと思った。
・・・・・・。
しかし、男性からは返答が無い。身動きする素振りすらない。

フィア「ええっと・・・その・・・ダイジョウブですか?」

私は土下座した姿勢のまま、恐る恐る男性の顔を見上げる。
相変わらず、男性からは返答が無い。
ゆっくりと私達3人を順番に眺めと、やがて一言。

??「ふむ・・・人数的にはちょうどいいか。君たち、アップル退治に行くぞ!」

男性の手には、街に張り出されていた『依頼』のチラシが握られていた。

# つづく #




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