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探索19日目


Diary

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キャラクター解説

フィア=ウィンド
 この物語の主人公。これがアタシの書く日記である以上、主人公の地位は揺るがないのだ!
 友人から預かった犬が元気を無くしてしまい、生命の力が溢れるというこの世界に来た。

フィア「ギャング・・・ギャング討伐かぁ・・・」

石刀火 凍檻 (いわとび こおり)
 フィアのパーティメンバ。妙に立派な黄色いマユゲが特徴の青年。
 顔立ちは整っているけど、言葉を放つと残念でならない人。

こおり「どうしたフィア? 足取りが重いなぁ。
    小便は済ませたか? 神様にお祈りは?
    ・・・今更引き返すのは無しだからな?」


ひかげ
 フィアのパーティメンバ。小学5年生の女の子。
 何でもいいから世界一になりたいらしい。ひなたちゃんの双子の妹。

ひかげ「ふん、ギャングだろうがヤングだろうがあたしの敵じゃないわよ!」

ひなた
 フィアのパーティメンバ。小学5年生の男の子。
 絵本作家になるのが夢らしい。ひかげちゃんの双子の兄。

ひなた「そろそろ・・・依頼のあったポイントですね。
    皆さん、周囲に気を付けて下さい・・・!」


ノライヌ
 友人であるイリスから預かった犬。ダンボールで出来ている。弱っていたが、この世界に来てすっかり元気に。
 言葉を喋る事は出来ないが、実は字が書ける。

ノライヌ「わんわん! わんわん!」

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■探索19日目の日記■

ギャング退治を無事に終えた私達は、オルゼの街へと帰還することとなった。

フィア「来た道を逆に辿るだけだもん。カンタンだよね!」

ノライヌ「わんわん!」

険しい山脈を越えるとは言え、距離にしてわずか1日分。
野盗退治の時の4日間の道程に比べれば全然大したコトない。
なぁに、あっと言う間さ!

・・・の、ハズだったんだけど。

ノライヌ「くぅん・・・」

ひかげ「ちょっとぉ・・・街はまだなの街は?!」

フィア「おっかしいなぁ、行けども行けども森を抜けられない・・・」

何かが、おかしい。

ひなた「これは・・・道に迷ってしまったようですね」

フィア「やっぱりーっ?!」

何てこった!
気が付けば、深い深い森の中を私達は歩き回っていた。
そこは、まさに樹海。

こおり「ふむ、太陽の方角から察するに、予定より随分と南に進んでしまったようだな」

ぇえっ?! こおりさんて太陽見ただけで方角とか判るの?! スゲーっ!

フィア「・・・じゃなくて! 方角判ってるんならもっと早く教えなさいよっ!」

こおり「こう森が深くちゃなぁ、木々が邪魔でなかなか太陽が見えないよな」

前言撤回。言うほどスゴい技能じゃなかった。

ひなた「迷ってしまったものは仕方がありませんね。
    何とかこの森を抜ける手立てを考えないと・・・」


森を脱出する手立て・・・かぁ。そう言えば・・・

フィア「ねぇねぇ、なんだっけ? 迷宮とかを脱出する賢い方法ってあったよね!
    ・・・『左手の法則』だっけ?!」


私が閃いたアイデアを口に出した途端、周囲の視線が凍った。

ひなた「それはひょっとして・・・
    ダンジョンで左手を壁に付けて歩く脱出法のコトですか・・・?」


ひかげ「あんたねぇ、ココは森よ?! 手を付く壁なんてどこにあんのよ?!」

こおり「お前はそこの木に左手を付けたまま、木の周りを延々とぐるぐる周っているといい」

フィア「ちょっとーっ?! ソコまでバカにすることないじゃない!」

ちょ、ちょっと間違えただけじゃないか!

ひなた「しかし参りましたね。太い木々がうねるように生えていて、真っ直ぐ歩く事も出来ません。
    どの方角も同じような景色が並んでいて・・・直ぐに方向感覚が狂ってしまって・・・」


こおり「まるで富士の樹海だな」

フィア「怖いコト言わないでよっ!!」

ノライヌ「くぅん・・・」

どどどどうしよう?! 本格的に遭難しちゃったっぽいぞ!

こおり「そこのダンボール犬が、何かしらの臭いを辿ってこの樹海を抜けたりは出来ないのか?」

フィア「いやぁ・・・ノラちゃんはダンボール製だしなぁ。臭いとかそういうのはちょっと・・・」

ノライヌ「わわん!(`・ω・´)キリッ!」

突然、ノライヌがやる気に!

ノライヌ「くんかくんか! くんかくんか!」

何やら足元の臭いを必死に嗅ぎ始めるノラちゃん。
そしてキュピリリリンというひらめき音と共に、何かを目指して走り始める!

フィア「出来るのかよっ!(汗」

ひかげ「もう、出来るんならはじめからやんなさいよ!」

何だかんだと文句を言いながらも、一同は走り行くノライヌをダッシュで追いかけるコトとなった。
・・・そして約10分後。

フィア「ぜぇ、ぜぇ・・・何か見つけたの?」

ノライヌ「わん! わん!」

ノライヌは、臭いの元を突きとめたとばかりに興奮し、臭いの正体へと飛びかかった。

???「うわぁああぁああっ!!」

飛びかかられた相手の悲鳴がこだまする。

フィア「あ・・・貴方はっ!!」

息子「何だこのダンボール?! はなせっ!」

ノライヌ「わんわん! わんわん!」

ノライヌと格闘していたのは、いつぞやの青年。
はたして覚えている賢明な読者は居るだろうか? 10日目の日記で登場した、エスタの宿屋の息子である。

フィア「ちょっとーっ?! 何でアンタがこんな所にっ?!
    ひょっとしてココって、あのゾンビの住む洋館の近く・・・?!」


息子「ゾンビだぁ?! 何日前の話をしてるんだ嬢ちゃん?
   あんなモン、とっくの昔に倒してやったぜ!」


なん・・・だと・・・っ?!

フィア「アタシだってまだ倒してないって言うのにっ!
    顔アイコンも無いNPCが何でアタシの先を行ってるのよーっ?!」


息子「随分と理不尽な怒り方だなコノヤロウ!」

??「・・・何ですか、先程から騒がしい・・・」

息子「レムネットちゅわぁあぁあぁああんっ!!」

レムネット「またお前かっ!」

息子の後頭部にレムネットさんの鉄拳が炸裂。息子は顔面から地面に衝突し、動かなくなった。

ノライヌ「くぅん・・・」

フィア「ええっと・・・お久しぶりです、レムネットさん。・・・アタシのこと、覚えてます?」

レムネット「ああ、貴女は確か・・・ゾンビの洋館で1度ご一緒したことがありましたね」

覚えていてくれたらしい。少し嬉しいぞ。

フィア「えへへ。アタシはフィアって言います。こんな所で再会できるなんてビックリです。
    レムネットさんは・・・まだアンデット退治の旅を続けてるんですか?」


レムネット「ええ。お蔭様で、ゾンビは倒すことが出来ました」

フィア「ああ、そうなんだ。ふーん・・・」

何だろう、無性に悔しい。

息子「そしてっ! レムネットちゃんの居るトコロに俺ありっ!!」

地面にうずくまったままだったハズの宿屋の息子が、驚異的なジャンプと共にレムネットさんへと飛びかかる。

レムネット「うるさい黙れ」

レムネットさんはその右手に持った十字架を息子の脳天へと叩き込む。
息子の目玉がぐるんと一周して、そのまま再び地面に突っ伏した。

フィア「なるほど・・・レムネットさんは随分とたくましくなられた様で・・・(汗」

レムネット「ゾンビの次は・・・幽霊退治です!
      丁度この先の洋館に、ゴーストがたむろしているという噂があるんですよ?」


幽霊?! ゴーストだとぉお?!

フィア「いや・・・アタシはそーいうコワい系はちょっと・・・この森の抜け方さえ教えて頂ければそれで・・・

よく見ると・・・木々を抜けた先、僅か5メートル向こうに、古びた洋館が見える。

レムネット「本来なら、ゾンビを倒した者にしか戦う資格は無いのですが・・・
      これも何かの縁。せっかくですから、ご一緒に戦いましょう」


フィア「いや・・・だからもうゴーストとか興味ないから。お願いだからアタシの話を聞い・・・」

レムネットさんは私の制止も聞かず、すたすたと洋館の入口へと向かい、躊躇なく扉を開ける。

ゴースト「ノックくらい・・・しなさいよ・・・・・・」

オバケが出た。

レムネット「さぁ、冥府に帰ってもらうわよ・・・!」

何だか妙にカッコいいポーズで、レムネットさんが宣戦布告。

フィア「流石に・・・このまま回れ右して帰るワケにはいかないよなぁ・・・」

私は覚悟を決めると、洋館へと向かって走り出した。

息子「出たなゴースト! この俺がレムネットちゃんを守ってあげるからねーっ!!」

そしていつの間にか復活した息子が、その後ろを追う。
こうして、ゾンビ戦に勝たずしてゴースト戦が始まったのである。


# つづく #




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